ミャンマー(ヤンゴン)情報 2025年11月報

2025.12.3 未分類

2025年11月25日


お得意様 各位


『ミャンマー(ヤンゴン)情報』2025年11月報


《2021年1月に勃発した軍事クーデター以降、ミャンマー情勢をお気にかけられている
方々から現状のお問合せを頂いております。ヤンゴン在住の契約社員からのレポートを基に、
2ヵ月毎に現況報告をさせて頂いています。 お時間がお有りでしたら、お読み下さいませ。》


ミャンマーチーク販売株式会社
代表取締役 臼井 成美


 朝晩の冷え込みが一段と厳しくなり、冬の到来がまじかに感じる昨今ですがご健勝で御活躍の御事とお慶び申し上げます。
 弊社は多くのお得意様からご注文頂きました『ミャンマーチーク製品』を3月に現地提携企業に発注しました。
契約金額はus$13万ドルです。11月下旬に出荷する予定ですので、出荷前の製品検査に出向きました。
 今回の『ミャンマー(ヤンゴン』情報』はこの出張報告を主体にしたいと思います。


【出張報告】
11月16日(日)午前のタイ航空便で出発し、バンコク経由で18時にヤンゴン空港に着くスケジュールです。
チェックインをウエブでしようとしたのですがミャンマーに行く者は自動チェックインが出来ませんでした。
昨年12月に出向いたときはウエブでチェックイン出来たのですが、今はカウンターでしなくてはならなくなっていました。此れもミャンマーの政情が不安定である為でしょうか?40分程並びチェックインを済ませました。
 搭乗機はエアバスのジャンボ機でしたが満席です。バカンス旅行と見られる人は少なく殆どが商用の方々と思われました。世の中、こんなに、アグレッシブなのか?と驚きました。
 気象条件が良く、揺れも無い快適な飛行で予定通り、バンコクには16時に到着し、17時過ぎのヤンゴン行に乗り換え、18時30分にヤンゴン空港に着きました。バンコク空港テイクオフ後、約一時間で到着です。
沈みゆく夕日と茜に染まった西方の空の美しさに見とれている間にヤンゴン空港に到着しました。
 提携企業が経営しているホテルを定宿にしています。8年前に建築したホテルで床・壁・建具等内装は全て自社製品のミャンマーチークを使っている素晴らしいホテルです。経年変化したチークの色調が落ち着きと奥ゆかしさを感じさせます。
 翌17日の8時に社長の長男(米国の大学を卒業し、今夏から社長見習いをしている)の運転する社長車で工場に出向く、事前に検査手順を指示してあるので、自主検査の結果をチェックすると共に、同一製品を10枚づつ、5回(延50枚)並べ、精度のチェックと見映え(フシの有無・疵や杢目)の確認を行った。梱包の際に、除外すべき製品を指示し、良質材と取り替えるよう命じる。

 今回の発注製品には、幅150mm・120mmで長さ1,820mmの一枚材(OPC)の高級製品が多く、精度と見映えを心配し注視したが概ね良好であった。良い原木を選定した結果であると工場長が申していました。
 その他、厚み30mmで幅300余mm・長さ1,300mmの階段部材を特注してノンスリップ加工や裏面の反り止め加工等を指示したのでその出来栄えも心配したが合格点でした。
 又、今回初めて、天井材・軒天材として厚み6mm幅95mmの相ジャクリ材を製作させたので、この仕上がり状態も気になっていましたが良い出来栄えでした。長さ1,500mmの製品でも撓みも無くしっかりしており、効率よい施工が出来ると思われます。
 16時頃迄、検査を行ったが、6時間立ち続けで、さすがに疲れたので、ホテルに戻り、食堂で軽い夕食を摂り、休みました。
 翌18日も昨日同様、長男の迎えでヤンゴン工場に出向き、検査は午前中に完了させました。段ボール箱に梱包する前に、再度、見映えを確認する事を工場長に指示をしました。


※製品検査状況は添付写真をご参照下さい。

T15×W150×L1,820mm,精度と見映え(フシ・疵)検査、

裏面反り止め加工と製品精度確認

階段踊り場材ノンスリップ加工と裏面反り止め加工

階段踏み面材ノンスリップ加工(溝は仕上げをする)

框材 H180×W100×L3,050/1,650mm 精度と見映えの確認

新規開発天井材:T6×W95×L900~1,500mm,

森林局検査:船積み書類と現物製品の照合


 工場の応接室で昼食を取りながら社長と懇談しました。社長は2021年のクーデタ―以降、軍政府の為替統制や原木払下価格の値上げにより、経営が難しくなっている等、愚痴を言っていたが、弊社の要求には万難を排して対応出来るよう努力するので、今後共、何なりと申し付けて欲しいと話していました。
 社長は三代前に中国から移民してきた中国人です。私同様、拙い英語ですので遠慮なくやり取り出来ますが込み入った話は、理解し難く、契約社員からミャンマー語で話して貰い間違いが無いようにしています。

 契約社員は2008年に岡山の4年制大学のデザイン学科を卒業し、ミャンマーに関わる仕事をしたいと新卒で弊社に入社し、卓越した日本語で営業と現場管理業務に活躍してくれましたが、後輩の国際支店長からミャンマーでODA案件を3件受注したが、地方の現場には優秀な通訳が必要であるので、是非、譲って欲しいと強く要請され止む無く、2014年に大成建設に入社させました。現在はヤンゴン市内のヤンゴン新病院建築事務所で活躍しています。*提携企業との技術的な打合せや今回のような製品検査の際は有休をとってサポートしてくれますのでスムーズに業務が処理出来ます。※弊社へのサポートは転職時の条件

 帰国便はヤンゴン発19:00ですので15時過ぎに軽食堂に入り、軽い夕食を摂りました。午後の3時過ぎですが席はほぼ満席の盛況でした。価格は添付写真の通り、日本国内価格と同額でした。2人でサラダをシェアし定食と飲み物を注文すれば4,500円/2人程度が必要です。大卒10年の公務員の給与が300,000チャット(12,000円)
ですから、一般市民は入れないような価格の店ですが、空席が無いくらいに盛況なのは?何故でしょうか?

カツカレー900円*最も人気があるとの事

私がオーダーシタクラブサンド、1,000円

野菜サラダ 1,150円

軽食堂の風景


【為替の動向】
 現在、市中の両替商では1us$は4,000チャットでした。昨年末には1us$は4,400チャットでしたので10%程チャットが高くなっています。従って、円は0.04円/チャットになります。


【日本で働きたい】
 情勢不安が続くミャンマーでは、日本政府が就労制限が無い特例の在留資格を認めた事が呼び水になり、一段と日本へ技能研修生として出国したい希望者が増えています。軍政府は新規出国を防ぎ、徴兵制を維持する為、窓口を狭め、出国は高い壁に阻まれています。


【ヤンゴンの地区管理事務所で爆発】
 ヤンゴン管区の2ヵ所の地区管理事務所で爆発が有り、地元住民が負傷しました。地下ゲリラ組織のヤンゴン・アーミーが、関与を表明し、軍政府が実施する総選挙に反対する声明を出しました。


【ミャンマー産レアアース】
 以前から囁かれていましたが、米トランプ政権がミャンマーから、レアアース(希土類)を調達する検討をしている事が判明しました。中国からの供給ルートを多角化し、戦略物資であるレアアースの調達網を強化する狙いがあると思われます。ミャンマーは複数のレアアース鉱床を有しており、既に、中国が軍政府を支援する代償に開発許可を得ているとも報じられていますが、米国が安全保障上の脆弱性を危惧し、戦力物資の安定供給を強化する為にミャンマーのレアアースに狙いを定めたのではないかと思われます。軍政府に対する戦略の転換があるのか?


【ミャンマー総選挙、12月28日から開始】
 軍評議会(SAC)に替わり設立された『国家安全保障平和委員会』傘下のミャンマー選挙管理委員会(UEC)は8月18日、複数政党制による総選挙を今年12月28日から開始すると発表しました。選挙は段階的に実施されます。
続く日程は追って発表される予定です。UECは15日に選挙区に関する詳細を発表。人民代表院(下院)は小選挙区制(FPTP)で330選挙区、民族代表院(上院)は小選挙区制で26選挙区の計110選挙区を設けると明らかにしました。総選挙については、民主派勢力が強く反発しており、予定通り実施されるかは不透明な情勢です。
※ヤンゴン市内の各所には各派毎の立候補者の看板が掲示されていますが市民の関心はないようです。


【ガソリン価格と物価】
 7月以降、ガソリン単価は下がり続けています。今日現在、レギュラーが2660チャット/リッター(106円/リッター)です。
お米も最上級米が5,000チャット(200円)/kg,一般米が170円/kg,で安定しています。
軍政府は輸入による米ドルの使用を厳しく規制している為、国内のスーパーマーケット等には輸入品や薬品が品薄になっていたり、品切れになっていたりしています。City Mart やMarket Place 等のスーパーマーケットで2021年のクーデター前、普通に購入できていた品物が最近は買えなくなってきています。最近、オリーブオイルを買おうとしますが、ここ1~2ヵ月くらいはスーパーマーケットには見当たりません。タイや中国の国境から輸入しているオンラインショップ等には有るそうですが、食料品なので安全面から容易に買う事は出来ません。
歯磨き粉やコーヒー等も品切れで買えなくなっています。
ミャンマーの最低賃金は7,800チャット/日(日額4,800+特別手当3,000)=320円/日です。日々、消費物価が上がっていますので生活が出来ない状況です。一般市民が最も多く消費する主要野菜の空心菜が3ヵ月前は800チャット/束(30円/束)だったのが、現在は1,500チャットに値上がりしています。
建築現場のワーカー(一般雑用係)の日当は15,000チャット(600円/日)ですが、主要食材が値上がりするので生活が維持できない状況です。何とか力になりたいと悩んでいます。


遅くなりましたが、11月の『ミャンマー(ヤンゴン』情報』をお届け申し上げました。
ご質問等がございましたら、何なりとMail下さいますようお願い申し上げます。
では、向寒の折、御自愛下さいますよう祈念申し上げます。

敬具

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