2024年5月のヤンゴン情報

2024.5.15 未分類

お得意様 各位


  《 2021年2月に勃発した軍事クーデター以降、ミャンマー情勢をお気にかけられておられる方々より現況のお問合せを頂いております。ヤンゴン在住の契約社員(本社に6年間勤務・元社員)のレポートを編集致しまして、2ヵ月毎に『ミャンマー(ヤンゴン)情報』をお届けしています。5月分をお届け申し上げます。ご高覧賜りますれば、幸甚に存じます。》


『ミヤンマー(ヤンゴン)情報・5月』

 【ミャンマーの現況】

  2023年10月27日にミャンマー国軍と少数民族武装勢力との戦闘が本格化してから、既に半年過ぎました。
 戦闘地域はタイ国境に近いカイン州です。国軍と民主派武装勢力が銃撃戦を繰り返しています。劣勢になった
 国軍は2月頃から絶え間なく空爆をしているとタイ国境に近いミャワディ市の住民からの情報です。
  ミャワディはタイとの国境貿易の主要なミャンマーの貿易拠点です。民主派武装勢力がミャワディを支配すれば
 国軍に経済的な大きな打撃になると共に、民主派武装勢力にタイ側から武器が入りやすくなり、戦略的にも国軍
 は、ミャワディを死守しなくてはならず、ヘリによる空爆を繰り返しているのです。この空爆によりタイの
 メソト市に避難したミャンマー市民は7,000人に上がっています。
     又、西部のバングラデッシュの国境に近いチン州やサガイン地方域で激戦が続いています。ミャンマー人の
 徴兵のみでなく、以前から迫害を繰り返しているイスラム系住民ロヒンギャを強制的に連行し戦闘に参加させ
 ています。

※地図をクリックすると拡大し鮮明になります。

 

  昨秋以降、民主派武装勢力の攻勢で国軍は拠点を次々落とし、投降や逃亡兵が相次ぎ30~40万人と言われた
 兵員数は現在では半減していると言われています。2月11日に発布した徴兵制度は減少した兵力増強の手段です。
 徴兵は18歳~35歳の男性と18歳~27歳の女性が対象です(女性は当面除外される)対象者は約1,400万人、
 徴兵を拒否すれば最長で懲役5年の刑を科せられます。
  2001年2月のクーデター以後ミャンマー国内の避難民は270万人を超えています。食料や医薬品の不足も
 深刻化しており、困窮住民は1,900万人になっています。これは総人口の30%になります。
  国軍の強権政治は国民の反発を強め国情の不安定化を招いています。国連の安全保障理事会の決議に従い、
 国軍が暴力行為(戦闘)を停止する事が事態解決には不可欠です。拘束しているアウン・サン・スー・チー氏を
 解放し、民主派勢力や武装少数民族との対話を始めるよう、東南アジア諸国連合(ASEAN)が行動を起こさ
 なくてはならないと思います。
  世界の関心はウクライナ紛争や中東紛争に向けられており、ミャンマー情勢への関心は薄れがちですが、
 インドシナ半島でラオスやカンボジアが中国のインフラ援助につられ、中国に傾注する中、親日的なミャンマー
 国民の窮状を解決する責務が日本には有るように思います‼

  終戦直後の食糧難の時に大量の米を供与して日本国民の飢えを救ってくれたのはミャンマー(当時のビルマ)
 です。ミャンマーは農業大国です。世界の穀倉になる国です。将来、食糧難が予想されている今日、大切に
 しなければならないパートナーと思います。弊社は微力ですが、ミャンマーの人々に、従来の穏やかな笑顔が
 戻るようサポートしたいと思っています。

 

 【ミャンマー(ヤンゴン)の国民生活】
 ≪バンコクへの逃避≫
  コロナ終息時にはタイ・バンコクのコンドミニアムの外国人購入者は中国・台湾・香港でしたが、昨年は
  ミャンマー人が3位になっています。ミャンマーの富裕層が強権政治が強まるミャンマーから安全なタイ国内
  に住居を構える人が増えています。バンコクのコンドミニアムの販売価格は昨年5月の2倍になっています。
 ≪続く猛暑≫
  ヤンゴンの4月は最も暑い時期です。気温40度超えの日が続いています。ミャンマー中部の都市チャンク市
  では46度の日が続きました。計画停電を実施していますが通電時間になっても電気が来ず、熱中症で倒れる
  人が増えています。
 ≪停電対策と詐欺行為の横行≫
  猛暑の中、長時間の停電対策に、住宅用太陽光発電装置を設置したり、ハイブリッドインバーターと蓄電池
  バッテリーを設置する人が増えています。容量によりコストは違いますが平均的な費用は1,000万チャット
(≒400,000円)必要です。(*1チャット/0.04円) これは40代の課長クラスの4~5ヵ月分の給与相当額です。
  幼児や高齢者がいる家庭では無理して設置しています。しかし、これ等、弱者をいたぶる輩が横行しています。
  手抜き工事であったり、工事をせず、工事費を持ち逃げする詐欺行為が頻繁に起きているのです。
 ≪日用雑貨≫
  閉鎖されていた陸路の貿易窓口が再開されましたので、タイ製や中国製の日用雑貨は買えるようになり
  ましたが、ドル高で値段が日々上がる状況です。スーパーでは、歯磨き粉や即席コーヒーが欠品になって
  います。昨年不作だった米は年末より値上がりして1袋(51kg)約170,000チャット(約6,800円=134円/kg)
  です。日本のスーパーでは2,500円/5kg=500円/kg,ですから、米の価格は1/3.7となっています。
  食用油(パーム油)は、1ビス(1.6kg)16,800チャット(672円)です。
クーデター前は約60,000チャットでしたから、約3倍になっています。
 ≪ガソリン価格≫
5月8日現在、レギュラーガソリン2,835チャット/リッター(約113円/リッター)です。
   ハイオクガソリンは、2,945チャット/リッター(≒117円/リッター)になっていますが、給油は出来ます。

 

『国内,事業環境』
    日本銀行がマイナス金利政策を解除して17年ぶりに利上げを決め、日経平均株価が史上最高値を付け、
   多くの企業が大幅な賃上げを実施しましたので、日本経済はデフレ状況を脱し、潮目が変わったと言われ
   ましたが、157円/us$,の円安では、エネルギー資源が値上がりし、生活物資が高くなり、デフレ時より
   消費活動が落ち込み経済活動が低迷するのではと懸念されます。
    弊社のお取引き関連でも建築コストの値上がりで予算不足になり、着工を見合わせられるお客様も出て
   います。ウクライナ紛争が何時,どのように収束するか予測できませんが、長引き、原油などのエネルギー
   資源が値上がりすると、更に景気後退を招く恐れが有ると思われます。昨年の5月の為替は130円/us$
   でしたので、単純に輸入原価が18%値上がりした事になります。米国のインフレが続伸して金利引き下げ
   が行われ、円安が是正されれば、物価が安定し、弊社の事業環境も改善するのではないかと思っています。

 

 『業務報告』
 【3月・4月に施工した主要案件】
  1: 賃貸マンション改修工事
    ミャンマーチーク無垢フローリング T15×W90×L909mm・OPC・クリスタルインテリアハード塗装(SSG)
  2: 高級賃貸マンションリニューアル工事(外国人対象)
    オーク三層フローリング T15×W189×L1,820mm・OPC・植物性自然オイル塗装
  3: マンションリニューアル工事
    チーク無垢遮音レベルLL45フローリング T15(10+5)×W76×L909mm・植物性自然オイル塗装
  4:賃貸マンション(ワンルーム)改修工事
    チーク無垢防音フローリング T12(10+2)×W76×L909mm・UNI・植物性自然オイル塗装

 

 【緊急輸入材ー混載便LCL(Less than Container Load)】で輸入
  *ミャンマーの正月休み前に(4月13日)ヤンゴン港を出港させる予定が2週間遅れ、5月21日に名古屋入港する
  1:寺院改修用造作材   チーク無垢角材(S4S)                     0.8㎥
  2:戸建住宅新築工事用 内装、造作材・チーク無垢角材(S4S)    1.4㎥
  3:戸建住宅新築工事用 チーク無垢フローリング T15×W90×L1,820mm・OPC,    60㎡
 【次船発注予定製品』
  *4月20日頃に次船輸入材を発注する予定でしたが、建築資材と労務費の値上がりで、建築費が予算超過になり、
   止む無く、設計変更が必要になった為、着工が遅れており、弊社への正式注文が遅れています。
   現地企業への、次船分発注は5月末に変更しました。この場合日本入港は9月初旬になります。


                                                5月のミャンマー(ヤンゴン)情報, 以上です。

          気温差の大きい不安定な日々です。お健やかにお過ごし下さいますよう祈念申し上げます。  敬具

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