お得意様各位
《2021年2月に勃発した軍事クーデター以降、ミャンマー情勢をお気にかけられている方々より、ミャンマーの現況のお問合せを頂いております。ヤンゴン駐在社員からのレポートを基に、2ヵ月毎に報告をさせて頂いています。
お時間がございましたら、お読み下さいませ 》
『ミャンマー・ヤンゴン情報-9月号』
1:初めに
関東大震災は100年前の1923年(大正12年) 9月1日に発生しました。多くの紙面が時の 惨状を伝えており、次に来る災害に、 自然と身構えます。
福島原発の処理水放出に対する中国の理不尽な対応・異常気候による農産物の不作や世界の穀倉地帯であるウクライナの農産物が紛争の長期化で配送出来ない事によって生じる食糧危機等不安の多い昨今ですが、青く澄み切った高い空と涼やかな秋風を存分に味わい、希望を持って前に進みたいですね。
2:台湾企業からのアタック
台湾企業からミャンマー製品を買って欲しいとコンタクトが有りました。この企業は以前から日本の木材業者に、ミャンマーチークの角材 (S4S) を斡旋販売していました。今年3月に角材 (S4S) の輸出規制が強化された為、従来の販売が出来なくなり、製品化 (フローリング)して販売しようと目論んでの折衝でした。弊社の製作図面に基づき、フローリングを生産するので継続的な取引をしたいとの申し入れでした。
チーク材は木材公社から正規に払下を受けた原木ですので買い受ける事に問題はありませんので価格提示を要求しました。 同社の提示価格 (CIF-名古屋) は、弊社の輸入原価より、かなり安く、最も需要が多い 『T15×W90×L910mmOPC』材で、 現在、弊社が購入している価格よりus$12/m2も、安い価格提示でした。us$12/m2は弊社の販売粗利益に相当する金額です。
提示価格は、大いに魅力のある単価でした。
早速、ミャンマーの売買契約企業名と契約から納品までのフォーメーションを知らせるよう申しましたら、ミャンマーの regulationで、ミャンマー企業が新たに銀行口座を開設して、弊社からUS$送金を受け取る事が難しい等、新たに日本企業と取引をするには高いハードルが幾つも有り、非常に難しいので、取引は断念したいと返事が参りました。
弊社が必要な製品を、必要な時期に調達出来る事は、永年の取引実績と相互理解の賜物です。
この絆は大切にしなくてはならないと再認識しました。ミャンマーチーク材の需要は減少していますが、この優位性を大切にし、ミャンマーチーク材を求められる方々に、ご満足頂ける良質製品をご提供せねばならないと肝に銘じた次第です
※3月に施行された、 チーク角材の輸出規制
厚み×幅=24"(15,483 平方ミリ)以内のものしか輸出出来ません。長さは関係有りません。
例えば、H60mm×W250mm=15,000平方ミリですから輸出出来ますが、H90mm×W180mm=16,200平方ミリになりますので輸出不可になります。
弊社が供給している重要文化財『氷川丸』改修デッキ部材はH65mm×W125mm=8,125 平方ミリ ですので、問題は無いのですが、一部、H65mm×W250mm材が有ります。
この材は、16,250平方ミリになり、輸出規制に掛かりますので、事前に森林局に申請して特別許可を得て、輸出出来るようにしなくてはなりません。
※シンガポールの大手銀行、 UOB (United Oversea Bank)がミャンマー地場銀行と他国の銀行の 送金取引中継業務を停止。
米国が国営銀行であるミャンマー外国貿易銀行 (MFTB)とミャンマー投資商業銀行 (MCIB)をミャンマー制裁対象にしました。これを受け、シンガポールの大手銀行であるUOBが、今まで行っていた、ミャンマー地場銀行と他国の銀行間の送金取引を中継する業務を停止しました。
シンガポール経由の金融サービスはミャンマーの金融機関や企業にとって生命線でしたので、今後の動向が心配です。
弊社もミャンマー契約企業のUOBのシンガポールロ座に送金し決済をしていましたが、今後はシンガポールの『OCBC Bank』の口座に送金し、決済をする予定です。
3:ミャンマー情報
東南アジア諸国連合 (ASEAN) 首脳会議がインドネシアの首都ジャカルタで開催されています。
2026年の議長国はミャンマーの予定ですが、実権を握っているミャンマー国軍は議長国を辞退する意向を伝えてきています。 今回の首脳会議では、ミャンマーに『暴力の停止』等を求めた5項目合意の履行状況と議長国交代についてが,議論されます。
議長国インドネシアのルトノ外相は『ミャンマーの平和的・永続的な解決を図れた場合のみ、アセアンは前進出来る』と状況の打開に向けた協力を呼び掛けています。解決の糸口が見つかる事を祈念しています。
さて、2021年2月の軍事クーデター以降、国軍と民主化勢力との紛争を逃れ、隣国 (タイ・ インド・バングラデッシュ) に不法越境したミャンマー人は国際機関の支援も受けられず悲惨な 生活を強いられています。
ミャンマー北西部のサガイン地域では7万人がインドに越境しています。その東南部のマグウェ地域ではバングラデッシュに8万5千人が逃れていると言われています。タイ北西部には10万以上のミャンマー人が流入しています。
国連難民条約に未加入のタイは難民の受け入れ義務を負わず、 『一時的な避難民』の扱いを受け、タイ政府の正式な滞在許可が得られない為、移民労働者許可証も申請できず、地元のエージェントに高額な手数料を払って仕事を得ています。弱い立場である為、低賃金で過酷な労働を強いられ、体を壊す人が多いとの事です。
《 ヤンゴンの近況》
日用雑貨の値上がり
先般、国軍政府がタイバーツを国境貿易で正式な国際通貨として使用すると発表しました。
従来はミャンマーチャットとタイバーツは451でしたが、忽ち、チャット安になり110 : 1 になりました。ミャンマー国内で使用する日用雑貨の多くはタイから輸入しております。
バーツに対し暴落したチャットにより、日用雑貨等消耗品の値上がりが一層市民生活を圧迫しています。
食用油(パーム油) の値上がり
国軍政府は食用油の値上がりを阻止する為、輸入業者を事情聴取し、値下げ要求をしましたがチャット安によって値上がっている為、打開策は見当たりませんでした。
食用油は現在、 1ビス (≒1.6kg) 1000チャットになっています。クーデター前は300チャットでした。
チャットの暴落
8月上旬には4000チャット/us$ (0.036円/ チャット) に暴落しました。9月第1週には3,600~3,700になっています。
ガソリンは2,300~2,400チャット (90円/リッター) になっています。
篤志家の安売り
物価高騰で厳しい生活を強いられている人々の為、米とタマゴを安売りしている店が有りました。
米2kgとタマゴ10個を100チャット (≒4円) で販売しています。篤志家の寄付です。
世界3大仏教遺跡の大雨
1044年に史上初の統一王朝が開かれた、エーヤワディー川に広がる平原には数千とも言われる 仏教遺跡(世界遺産) が有ります。今までにない大雨でエーヤワディー川が氾濫し、これ等仏教遺跡が水没しました。以前の姿に復旧出来るでしょうか?
4: 業務報告
次船便 (MTH51) は、9月中旬に製品検査を行い、10月初旬にヤンゴン港を出港し、10月20日前後に名古屋港に到着する予定です。
発注製品と数量
1:公共施設用外部デッキ材 (ピンカド材) T15×W90×L1,820mm OPC, 700m²
《名取市ゆりあげ港朝市デッキ工事用材》
2:戸建注文住宅用チークフローリング T15×W90×L909mm OPC, 300m²
《戸建て住宅用材》
3:戸建注文住宅用チークフローリング T15×W90×L1,820mm・OPC 270m²
《都内、戸建住宅用材》
4:戸建注文住宅用チークフローリング T15×W120×L909mm・OPC 180m²
《 都内、 戸建住宅用材》
5:戸建注文住宅用造作材 (カウンター・階段部材・ ルーバー材・壁材) 7m²
《特注・戸建住宅用材》
6:計画発注(リフォーム用スラブ直貼り、 遮音性能LL45材・実用新案材)
T15(10+5)×W76×L909mm UNI, 200m2
※ミャンマー国内は林業省の伐採制限により、原木不足の状況ですが、必要な製品は必要数量を製作出荷しています。何なりとご相談賜りますようお願い申し上げます。
敬具
《9月号、終了》